一期一会 みはるの部屋

正義はわれにあり

人生と仕事と人生とあたし

眠れぬ夜

何度も夢を見る

「生きたい、もう一度働きたい」と願って死んでいった彼

おなかが大きく 大きくなって 腹水で苦しくて 幼子を残し死んでいった彼女

自らの命を電車に預けたあの娘

効かなくなった薬 残された人生を怯え 抱える苦痛

さよならも言えずに意識を飛ばし 動けぬ人になったお母さん

 

人生とは

人生とは

生きるとは

 

あくせく働くのが好きだった

時間がない、と言いながら 時間の中で分単位でスケジュールを頭の中で立てて

状況変化に優先順位をその場、その場で考えながら働くのが好きだった

そこには、自分の知識と経験が次の予測をたて

その予測が合致したとき 得も言えぬ喜びになった

興奮が報酬を与え 報酬が興奮を呼び起こす

誰かの人生の決断に寄り添い

誰かに訪れた危機を共有して

誰かと涙して

 

仕事は私にとって、自分の情けない日常をカバーしてくれる唯一の誇りになった

 

だから

休みの日は落ち着かない

あの人が生きたかった時間を私は生きている

そのことが重荷になった

 

資格を得た、という同僚

旅行が好きな 友人

趣味のイベントに忙しい 同期入社

彼氏や彼女と過ごすことのできる 知人

海外出張が決まった あいつ

 

振り返れば 部屋の角にたまっているほこり

カーペットに絡みつく髪の毛 

コンビニの袋や総菜、安い雑貨ばかりであふれた机の上

まとまらない色の服や家具

 

見つからない自分の人生の目標

誰かが生きたいと願った日常を生かせない自分

 

独りになるのが苦手で でも

人と長期間の関係を結ぶのが出来なくて

心を誰かに渡すことで自分は壊れると思った

恋にあこがれ 恋を怯えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息が白い夜の川べりを歩いた

反射した光に輝く水面があった

あんまんを食べる

あたしは生きている