思春期を迎え
珈琲を飲めるようになってきた頃(クリームと砂糖は必須の頃ね、まだまだ未熟)
母が眉をひそめる言葉を連呼するアニメが放送されていた
普段は その言葉を連呼し
HOTELに行こう!と女の人を追っかける
でも、
大人の裏の世界の中で
彼はスナイパーで
悲しみを背負った過去を持っている
相棒を失った
忘れ形見の妹は
大切だから 守りたいから 一番に
指を触れない事が
彼にとっての誠実となり
さらに 背中の影は色っぽさを増す
明らかに少女漫画とは違う作画と
恋愛漫画で王道の 真っ直ぐに女性に向かってくる男の子とは一線を画した
その「不適切にもほどがある」ばりな言葉を連呼しながら(とてもいい声で)
意味のわからない英語のかっこいい挿入歌とピアノ
東京の街を背景にして流れるEDの「歌をきかせたかった~」
から始まる別れの曲
自分はまだ愛を知らない 恋愛も別れも
でも、知っている心の中の風景 誰もが持っている 孤独の悲しみ
東京が、新宿が、
ビルの大都会が憧れとなった
いつもひょうきんな姿から
時折見せる顔を 女は見逃せない
香に触れないもどかしさ
誠実である事の痛み
全てが、色気につながった
熱い胸板
長い脚
引き締まったお尻
高校生は子供と言い切る姿
大人の恋を知っている
自分に自信がある
こんな、男はどこにいるのであろうか
同じ少年誌のヒーローは、恋愛はしない
仲間のためとか 地球のためとか で 戦う
彼は依頼され、依頼者のために 戦う
ビジネス 仕事でもある
生活をしている大人で 何で食っているか分からないヒーローではなかった
車も運転し ビルも持っていて 地下室もあって 行きつけの喫茶店やバーや
大人の知り合いが居て 街にいる
空港やHOTELのラウンジ
大人になれば 自分もそこに触れられるんじゃないか、と心踊らされた
少女の夢は
ずっと 一緒で
自分を守ってくれる王子様が現れる事
HOTELの意味も分からなくても 恋は知っていた
本気の初恋というのなら、彼だった、だろう
現実の男には居なくても
きっと、それを夢見る人が、きっと、かなえたい夢として描いているのだから
きっと出会える
彼は今でも、色気たっぷりの理想の男
いい男って、こうよね?