一期一会 みはるの部屋

正義はわれにあり

君だけに届く言葉 ~パン編~

あたまのぱんである。

小さいときに名付けた。

 

母と手をつないで あたまのパン買ってくる

トングからさらさらした白っぽいビニール袋に入れ、レジで金額を入力する

支払われた金額と、おつりと、レシートと、あたまのパンと食パンが入った袋

一連の作業は美しく、無駄がない

その光景の先にある 幸福が待ちきれない

 

一個 50円ほどのそのパンを くるくるパンを回しながら

翼の部分から先に食べていく

かりかりと香ばしく、甘い 小麦と卵と砂糖は混ぜて焼きあがったその部分

口の中で唾液と共に感触を楽しんで飲み込む

端っこばっかり食べてから、3個目ぐらいで、本体も食べないと、って食べる

本体は、空洞ができて膨れて、しっとりとした小麦と頭の焼けた皮を味わう

牛乳と一緒に食べる

あたまのパンは翼が好きだけど 好きを補強するようにあたまがある

 

tomiz.com

シンプルな、あたまのパンは最近なかなか見かけない

中にクリームは要らない

牛乳があるのだ。

 

大人になってテレビで高知県のパンとしてニュースで見かけた

ぼうしじゃない スイートプールじゃない

あたまのパンって名付けた

あたしは一生 あたまのぱんって呼び続けて

それを知ってくれる 人たちの間で生きるのだ

 

ja.wikipedia.org

 

引っ越しを繰り返し 気が付いた

メロンパンがメロンパンじゃないことに。

メロンパンブームがあった

「う?」

なんだ、なんどもパン屋さんで「メロンパン」として売られていたのは

容認していた

ただ、あれは、サンライズだ。

まちがいである。

ブームになって慌てて否定した これをメロンパンとして全国にお伝えする前に

周囲にはメロンパンとして誇っているパンがあることを知ってもらいたい

 

 

これである(威張り)

牛乳とたべるのだ

 

全国パン祭りにも出店している

ご当地もの、みたいに

 

ちがーうう!ご当地じゃなく、これが広まってほしい。

ここで週に何回か売られている

嬉しくて、嬉しくて 一人で何個も購入した

 

見かけたら ね、食べてね

美味しい事請け合いよ

 

なんとなく冷たい生地とさらっとした匂いと品のある白あん

 

メロンパンとあたまのぱん

 

あたしがこれを好きでいる事を知っている君にありがとう

 

 

ここに在る日常

起床時間 5時05分

なんとなくテレビをつける

 

発音が気持ち悪いニュースキャスター

ちゃうねん、姫路の言い方 なんなん、しめじみたいな発音

なんやねん「まさかの行動」や「驚きの行動」って

知っておきたいニュースってなんやねん

あほちゃうか、と思いながら 天気ニュースを見るため

だけにそのニュースをかけている

 

しみかしくのコンシーラ

小さくなった目を大きくするためのアイライナー

鏡よ鏡 世界で一番美しいのは誰?

そんなことも思えない醜い顔がそこにある

 

おなかが出てきた

どんだけ調べても 原因が太ったとしか書いてない

ネット情報

あたしが欲しい答えはそうじゃない

なんか、そんなじゃない答えが欲しい

タックボタンを閉めずにアウターで隠す

 

通販で購入した靴の色が違っていた

返品交換がめんどくさくてそのまま履いていて外に出た

寒暖差で垂れてくる鼻水

固まった鼻を触っていたら血が出て、かさぶたになった

鼻の中のかさぶたは、臭くて 触ったら またかさぶたが出来て

ここ何週間も血が止まらない

 

女性専用車両に乗る男の違和感を感じ、カメラを向けた

いつか、まとめてネットに晒す予定

顎を空けて上を向いて寝る人を 釣り革越しに眺める 何かを口に入れてみたくなる

おばさんと呼ばれてもいい年齢の女性がマタニティマークをつけて歩いてた

嘘だろ、あれ 気持ち悪

 

降りたホームでいつものカフェがある

彼女がガラス越しに今日も忙しそうに働いている

何人も出入りするそのドアに「いらっしゃい」と「あり

がとうございました」「いってらっしゃい」の声をかけている

全員を見逃すまいとした決意、仕事人の姿勢を横目に通り過ぎる

 

空が青くて 

途中で引き返した

富士山がみえる公園に行くことにして

きょうは体調がすぐれない、と職場に連絡を入れる

気分で行きたくない日が理由となる社会になれ と

思いながら

 

責任を放棄した休みは清々しくて

 

熱が引いた午後の布団の中

母親のひんやりした手が額に触れる

「下がったから 遊んでもええ?」

何度かこの言葉を繰り返す

根負けした母は少しだけ起きてもええで

でも、今日は休んどるからなぁ、とやさしく注意する

えへへ、といたずらをしたような笑顔で返す

しゃーないよね、って認めてもらった 包んでもらった

そんな、言葉が欲しい

 

メタセコイヤの間から落ちる日差しと

公園にある献花台に落ち葉を並べる子供を見た

人を見ると飛びついてくる犬の濡れた鼻が歯にあたり

しばらくはじんじんした

掲示板に貼られた公民館講座 食べれる野草講座は

満員御礼と書かれてあった

小さなお弁当やさんで買った 幕の内

ぎんだらの粕漬け 柴漬け 黒ごまのかかったごはん

お弁当を食べながら 夕食は何をしようか、考える

 

 

それは

あから様にではなく

少しづつ 

相手の自尊心を奪うような

表立っては公平で

その実、馬鹿にするような

正しい事を言いながら

人間性までを否定にするような

そんな、態度をとられる事に 時折、心を蝕んでいた

その人にとり、自分が

軽んじられている と感じた時

他人の評価をくらって

自分の価値を下げている事に気が付いた

 

 

美味しいお弁当

空気はきれい

景色は美しい

子供はほほえましく

飛びついた犬に愛をもらった

LINEには心配、と

任せての、言葉が書いてあった

 

 

 

起床時間 午前5時⒖分

新幹線にペットボトルを投げた男のニュースが流れた

 

www3.nhk.or.jp

姫路市は ひめじし、と平坦な言葉でニュースキャスターは発音していた

新しく買ったコンシーラーはしみを上手に隠し

www.youtube.com

メイク動画を参考とする

 

今日、女性専用車両に乗った男は周囲を見渡し、次の駅でそそくさと降りた

口を開けて寝る乗客に お疲れ様といたわりの言葉を心の中でつぶやいた

マタニティマークの女性に幸あれと願った

 

今日も、カフェで彼女はトーストの準備とドアに一人残らずに声をかけている

常連らしいおっちゃんと会話して 飛び切りの笑顔を見せていた

 

大丈夫の事情を心配してくれる同僚がいた

大丈夫を心配してくれるお客さんに逢った

 

 

あたしに傷はつかない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰路 いかなごと御座候

三ノ宮を西へ過ぎると休日の車内は閑散となる

進行方向の座席に座り 窓の外を眺める

 

首都圏の鉄道は距離が短くて、時間がかかり、人が多く、座れても

進行方向には座れない

終点 約70キロほどの網干まで、1時間もかからずに行くことが出来る。

新快速と名付けられて走る、その電車で光輝く あおいあおい海を少し高いところから

見渡した

窓側に座り 肘を着き ペットボトルを置く事 これが当たり前だった事に気が付く

 

春を告げる魚介類の代表は

鰆 さわら

メバル 

ホタルイカ

初鰹

あたりだろうか

 

地元では春が訪れるこの時期には「いかなご」を何キロも購入し

自宅で「くぎ煮」をして、各所親戚に送る家庭が多かった

甘辛い醤油とショウガで煮込んだいかなごは 何杯でもごはんが進んだ

数年前

近年は不漁が続き、すっかり高級魚になってしまい、下手をすると

そんじょそこらの牛肉よりグラムの価格が上がってしまった

news.yahoo.co.jp

母が作ったいかなご入りのお弁当をもって学校に通った

母が亡くなったあと、父が作ったいかなごは食べきれないほどの量で送られてきた

 

食べきれずに捨てた事

多いから!と父に送る量に注文をつけた事

その父は 数年前から台所に立つことが出来なくなった

 

同線の悪い台所 置き場所のないシンク

洗濯機とお風呂がつながった 炊事場

玄関の扉の塗料はささくれ立ち

ベランダと、呼べるほどのものではない洗濯干し場の

屋根は台風で飛ばされたまま

 

帰宅するたびにたばこのヤニを掃除しては数日だけで

すぐに実家を離れた

お父ちゃん きれいにせなあかんで と言いながら

便利な台所機能が備わって 乾燥機もある自宅へ

 

すこしづつ、開けられてない封筒が、新聞が、食材が増えていき

たまっていき、腐ってきていた

弱いお酒でそのまま寝ることが多かった

何枚もたばこの灰で穴が開いた上着

お酒もたばこもやめることが出来なかった

長い事ゴールドカードを保有していたのに車をぶつけた

帰省をした時、不衛生になってきていた

「お父ちゃん、ちゃんとせなあかんで」

「わかった、わかった」

こんな会話を繰り広げるだけで

限界と知っていたけど 認めるのが 見るのが怖かった

何もしなかった

ほどなくして、兄弟より父が施設に入る事になった、と聞かされた

 

 

「何キロものいかなごを作っては一人暮らしの娘に送ってくれた」

あの、せまい、せまい、不便な台所で

母を思い出しながら作るいかなごには、どんな思いが込められていたのだろう

母と会話していたのかな

「おかあちゃん、今年も作ったで」って言いながら

持て余す 孤独と闘いながら

息を吸うことが、何度も出来なくなる夜を過ごしながら

 

いつも、幸せは、その場では気が付けない

 

なんで捨ててしまったんだろう

頑張って食べたらよかったのに

甘い甘い 酒と醤油とみりんとしょうが

なんで、大切にできなかったのだろう

 

 

菜の花のきいろと桜色の町で下車した

北口か南口しかない出口で迷うことなく

父と娘が好きな白あんの御座候を片手に

父に会いに行く

 

www.gozasoro.co.jp

 

 

3回自転車を 2回財布を 

3年間 大阪市の下のほうにある街に住んでいた

大物政治家が息をはいた職場で 少しかどうかわかんないけど賃貸の保証人にも

なってもらい 敷金礼金も払わずに 住居と職を得て過ごした

 

4月入職まであと少しのぎりぎりのタイミングで決めた物件は

大きさと職場の近さで選んだ 築25年のマンションで大家さんがいた

月6万円 2K 何とかギリギリお風呂とトイレは離れていて 

洗濯機置き場はベランダだった

 

地下鉄を出ると

大きな公園が近くにあって

コンビニもたくさんあった

日曜になると青空市がやってたり

かわいい雑貨がたくさん売っている店も多かった

安い総菜と嫌いになれない 慣れ慣れしい店員さん

温泉 サウナが400円で

10個入り250円のたこ焼き屋 

 

一人暮らし

 

時間の感覚がマヒする 昼夜の交代勤務

24時間光っているスーパー

半額になる総菜や刺身を片手にぶら下げて帰った

ペット禁止の部屋で2匹の友人を迎えた

 

深夜に食べる ニンニクとにらの入ったラーメン

肉のにおいと煙

お酒と香水の匂い

大声で会話するサラリーマン

空き缶やたばこは道に捨てられる

たこ焼き屋の隣にある薬局は 不妊症に効く漢方や腰痛に効果があるサプリメント

法外な値段で売り付けていた

 

1年づつ3回 盗まれた自転車 ちゃんとロックもかけて チェーンもかけてた

置き忘れた財布も 簡単にやられる

 

何度も何度も重箱の隅をつつくような先輩

たばこのにおいをぷんぷんさせて いいことを言う上司

刺青の入ったお客や

何度も呼びつけるお客

 

いきつけの居酒屋さんを営んでいるマスターが亡くなった

誰もいない 病院のディルームで倒れていたという

 

失意のうちに帰る深夜 大きなカッターナイフを持った男に襲われた

短いスカートを履いていたからだ、と彼は言った

 

これ見て と見せてもらった運転免許所は韓国名だった同僚

 

あたしは このままでええねん と進学を断った彼女は親の借金で住民票を

持たなかった

 

友人を迎えるにあたり口酸っぱくして 注意点を教えてくれた年配の同僚

 

下の名前をちゃん付で呼んでくれた 彼女にもらったポーチ 今も使っている

 

 

 

 

 

 

 

 

朝 懐かしいにおいがする その場所を歩いた

家賃は4万円に値を下げて 更に年期が増し、風格を漂わせていた

大家さんの名前はなくなり 代わりに大手賃貸会社の連絡先が書かれた

プレートが張ってあった

 

職場は移転していた

 

落ちたたばこと空き缶をかたずける商店街の人々を見た

相変わらず400円のモーニングセットを展開している喫茶店があった

 

桜が咲いた 無言でカメラに収めた

その姿を見た 年配の女性と目が合った

「あらっ咲いてるやん 下向いとったら、ほんまきれいに咲いとる 教えてもうてあり

がとうなぁ」満開の笑みでと言われた 

 

 

笑いあった 泣きあった 抱きしめ合った 一生懸命だった

 

大切な何かを渡してくれた人々

今日も 全力で生きる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男の色気を考えてみた 其の四 堺雅人

好きになる男の人の傾向は 少女漫画ではいつも 主人公をそばで支えて報われない

男の人だった(二番手とでもいうのかしら)

大体、少女漫画の主人公は無条件にいい男がそばにいて、愛をもらうといった設定が多

くて「どんくさくても純粋なら 誰か愛してくれるんだ」と長い間 都合のいい解釈

をしていたな

 

さて、それが何の関係があるというか、堺雅人はそれに近いのである

半沢直樹」しかり「古美門研介」しかり(vivant…観てない)主人公役より、

一歩後ろに下がった時の役柄が非常に「色気」を放つのである

もちろん、主人公役が合ってない、ではない あくまで色気の話である

(リーガルハイはDVDを購入して 何度も何度も観ている)

 

存分に世間に知れ渡った演技で言うなら「新選組!」の山南敬介でしょう

沈着冷静、静かな中の情熱、己の信念に生きる男の姿勢、知に富むも剣術も出来る男

愛する女性はこれまた、純粋で 自分とは違う無防備な かわいらしい人で

困った事を引き受けたくなる性分の彼には(実際、居るよね、こういう人)彼を輝かす

存在だったのであったのでしょう

最後まで、心に秘めた思いを振りまき、全国の女性を泣かせました

 

次に「クライマーズハイ」です

気持ち悪すぎた遠藤賢一(ほめている)とともに御巣鷹山の尾根に上がったり、事故調

の裏どりをしたり、と活躍する役ですね

あの殺気だった彼の目 

この世のものとは思えぬ、現実を知った男の目

誰かもわからぬものに向けた怒り

それは、犠牲者に対する深い深い思いからくるもの

男の姿勢が色気を振りまいております

 

もちろん、これは現実とフィクションで あくまで主軸は新聞社の内部構造が大きく描

かれた作品ではあります

だけど、現実に多数の方が命を落とす事になった事を題材とした事を受けての演技なの

かはわかりませんが、堺雅人の深さが知れる演技と思われます

最後の父の手紙を読むシーンも 一言一言の言葉を届けている、と感じたのは私だけで

しょうか 演技という仕事姿勢も含めて それを色気と言っていいのかは少し違うかも

しれませんが心を掴まされました

 

最後に

大奥でしょう やっぱり

菅野美穂さんと結婚のきっかけになった、と言われている 大奥です

これは、菅野美穂さんも美しいですが(この方も役柄でかわいかったり、きれいだった

りしますね)

この、計算された男を演じさせると 本当に 色っぽい

賢い人が秘める情熱の深さは もう、心がわしづかみになるんですよ

尽くして、尽くしてくれる 男

相手のためを思い、自分を犠牲にする

でも、好きだから、好きだから の深さ

いや~これを彼に演じさせると本当にはまるんですよ

孤独が似合う これが 影を作り 色気がでる

 

結婚後はなんだかやわらかくなっている感じがしますが(いいんですが)

内の情熱が高い 堺雅人が大好きです

 

菅野美穂さんと結婚した時 嬉しかったなぁ

 

ちなみに反乱のボヤージュ DVD化しないかな

あれで、堺雅人を知ったんだよ

 

 

ただ一人のあなたに 恋したあの日々 

「Squall」を聞いたのはいつだったか

ああ、あたしだ、と思った

 

再会した彼は

相変わらず やわらかく笑う人で 誰にも公平に、平等に、距離を置いて

接する人だった

他人は気が付かない

彼に距離を置かれている事など

何気ない会話も 慎重に話している事

どちらともとれる言葉選びをしている事 

仲良くしているように見えて 他人に距離を置いて接している事

 

あたしだけが気が付いた

あたしだけ、と思った

 

誰かの人生に対し

その判断を 決断を 告げる立場にある事

優しい言葉で でも決して 感情を押し付けもせず

それでいて、見えないところで 深い悲しみの中にいることも

知っていた

 

あたしと一緒に居ることで 笑ってほしかった

くだらない事を一生懸命話す私を馬鹿だなぁって笑ってほしかった

少しでも抱えているものを渡して欲しかった

 

いつくしむような その眼が 

困ったとき さりげなく 支えてくれる

ひとつ、ひとつの行動に意味を感じた

 

皆で行った 遊園地

車酔いしたあたしを介抱してくれて乗れなくなったジェットコースター

滑れるようになるまで教えてくれた雪山

どうしようもなく泣いてしまった仕事帰り

短いLINEを渡してくれた

友人たちの中で感じる孤独に気が付いてくれた人

 

いつの間にか 一人で抱える事の出来ない 恋 になっていた

 

 

 

切なさも 勇気ももらった曲

 

www.youtube.com

 

ガリレオよかったね

「最愛」も好き だけど、今はこんな気持ち

 

 

人生と仕事と人生とあたし

眠れぬ夜

何度も夢を見る

「生きたい、もう一度働きたい」と願って死んでいった彼

おなかが大きく 大きくなって 腹水で苦しくて 幼子を残し死んでいった彼女

自らの命を電車に預けたあの娘

効かなくなった薬 残された人生を怯え 抱える苦痛

さよならも言えずに意識を飛ばし 動けぬ人になったお母さん

 

人生とは

人生とは

生きるとは

 

あくせく働くのが好きだった

時間がない、と言いながら 時間の中で分単位でスケジュールを頭の中で立てて

状況変化に優先順位をその場、その場で考えながら働くのが好きだった

そこには、自分の知識と経験が次の予測をたて

その予測が合致したとき 得も言えぬ喜びになった

興奮が報酬を与え 報酬が興奮を呼び起こす

誰かの人生の決断に寄り添い

誰かに訪れた危機を共有して

誰かと涙して

 

仕事は私にとって、自分の情けない日常をカバーしてくれる唯一の誇りになった

 

だから

休みの日は落ち着かない

あの人が生きたかった時間を私は生きている

そのことが重荷になった

 

資格を得た、という同僚

旅行が好きな 友人

趣味のイベントに忙しい 同期入社

彼氏や彼女と過ごすことのできる 知人

海外出張が決まった あいつ

 

振り返れば 部屋の角にたまっているほこり

カーペットに絡みつく髪の毛 

コンビニの袋や総菜、安い雑貨ばかりであふれた机の上

まとまらない色の服や家具

 

見つからない自分の人生の目標

誰かが生きたいと願った日常を生かせない自分

 

独りになるのが苦手で でも

人と長期間の関係を結ぶのが出来なくて

心を誰かに渡すことで自分は壊れると思った

恋にあこがれ 恋を怯えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息が白い夜の川べりを歩いた

反射した光に輝く水面があった

あんまんを食べる

あたしは生きている