情緒あふれる下町特集で取り上げられる近くに職場がある
日中、観光客でにぎわう その通りは あたしが通る時間帯は
コロッケを揚げていたり、店前に商品を並べたりで、これから始まる店の準備で
忙しそうなおばちゃんやおっちゃんがいて おはようございます、と誰彼なしに
あいさつをしている
朝6時から始まるパン屋でクロワッサンとオニオンチーズのパンを購入する
坂の上から、見渡す朝焼けと、長屋がまだ残っているその場所は、ふるさとや
懐かしいって言葉に似合うと思う どこかで見た光景 心にある愛しい場所
そんな事を考えながら まだ冷える朝を歩く
地元は 車が行きかう大通りに電気屋や家具屋さん倉庫みたいな服屋さんがあっ
て ラーメン店やお寿司が並んでいる
小さいころは自転車で、大人になれば車で移動することが増え、使用する頻度の少ない
駅前の商店街はシャッター街となり たまに帰ると 老いていくもの悲しさをそのまま
体現したような姿になって 若い頃の自分はそれを「忌避」した
情緒あふれもなく、田畑が広がる田園風景もなく
海があっても、大きな工場があって
山は遠くて
部落差別が残る地域もある
近所の人と声を掛け合って、柴犬が居る風景もなく
近隣とは仲良くなくて、
お金がない事にあくせくして
ひがんだり、羨んでいた親を(もちろん、それだけじゃないけど)
いじめられて、卑屈になった子供時代
本当は、それが故郷の風景
日本中ありふれた、郊外のそのもの
職場の近くのこの景色はどこかの映像で見た風景
きっと、そのどこかで見た風景は暖かく、やわらかく、笑顔があって、にぎやかな
人々の営みを描いていたんだろうと思うから こんなにも懐かしく思えるんだろなと思
う
それでも、小さなころは、大きなショッピングモールは夢がいっぱい詰まった場所で
正月になれば、お年玉という 普段は手にしない金額を握りしめて見る新聞の広告に
ゲーム機や着せ替え人形に夢中になってたり
漫画に夢中になって話した友人との帰り道
飲んで、カラオケに行って、ファミレスで 朝までソフトドリンクの飲み放題片手に
判断しきれない感情を語り合ったあの日々
200円15個入りで食べれたたこ焼き
100円バーガーは150円になったけど まだお店はあって
ショッピングモールは名前を3回変え、夢の場所の朽化が進んでて
駅前の商店街はきれいになってたり
コーヒーを飲むというと、ここの喫茶店という喫茶店は根強い人気でそのままサービス
を保っている
作って行こう、自分の人生を
不満を嘆くのではなく
不満を怒るのではなく
想像を創造に変える人たちが居る
見えないところで支えてくれる優しい賢者たちに
少しでも提供できる知識や技術を身に着けよう
なんだ、あたしの風景は日本中のどこにもない風景だったじゃないか